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小額政府紙幣五十銭紙幣 |
●日華事変勃発、国家総動員法制定。軍需のため硬貨素材不足し、小額紙幣発行。 昭和13年発行 寸法:65ミリ×105ミリ 昭和12年7月、北京郊外での盧溝橋事件をきっかけに、日華事変が勃発しました。軍部は不拡大の方針を声明した近衛内閣を無視し、中国全土の侵略に進みました。 昭和13年には国家総動員法が制定され、政府は議会の承認なしで、物資の統制や労働者の徴発ができるようになりました。 この小額政府紙幣は臨時通貨法にもとづいて、五十銭銀貨に代わって昭和13年に発行されました。軍需のために硬貨の材料が不足して、紙幣に切り換えられたのです。 これまで世にでた五十銭紙幣は、明治16年発行の改造紙幣、大正6年発行の小額政府紙幣がありますが、ともに図柄は彩紋だけで凸版印刷です。 戦時体制に相応しく、朝日の下に富士山と桜花を配した図柄で、小額紙幣なのに銀貨に代用させるために、高級印刷向けの凹版が用いられています。用紙も良質でした。また、偽造防止のために隠し文字が挿入されています。写真ではわかりませんが、「五拾銭」の「五」の右横に「ニ」、下に「ホ」、そして「拾」の下に「ン」があります。 しかし、戦局の悪化とともに、昭和17年になって改正された五十銭券は、靖国神社の図柄はあるものの凸版印刷に改められ、紙質も落されました。 |