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甲千円券 |
●高額紙幣、戦時下に相応しく甲冑姿の日本武尊像。お目見えは紙幣不足の、終戦直後に。 昭和20年発行 寸法:100ミリ×172ミリ 日米通商条約廃棄の通告などアメリカによる圧力は、昭和15年の日独伊三国同盟成立を決定的なものにしました。昭和16年には、日ソ中立条約が結ばれています。 日米交渉は行き詰まり、近衛内閣は総辞職しました。代わって陸軍大臣の東条英樹が内閣を組織し、ついに昭和16年の12月8日、日本はハワイの真珠湾を奇襲して、太平洋戦争に突入しました。 この甲千円券は太平洋戦争開戦前夜、非常の場合における準備として密かに製造されはじめ、昭和16年末から18年にかけて日本銀行に納められました。 しかし、昭和17年の2月に公布された日本銀行法により、5月1日の施行後は新兌換券の発行ができなくなります。 大蔵省は、兌換文言のある甲千円券が通用できるように、法施行前の4月16日に発行を告示しました。 でも、実際にこのお札が世に出たのは、昭和20年の終戦直後でした。インフレによるお札不足を回避するためでした。 肖像には、明治20年に承認された歴史上の人物から日本武尊がはじめて採用されました。甲冑をつけた武人の図柄は戦時下に相応しく、左側の図柄は大津市にある、建部神社の本殿です。ただ、武人としてはヒゲがないのは気になります。 この最後の兌換券は戦後の急激なインフレにあって、わずか5カ月流通しただけで姿を消します。 |