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乙二百円券(裏白) |
●金融恐慌、再び。取付け回避に平板、無記号、裏白で緊急印刷。 昭和2年発行 寸法:73ミリ×123ミリ 第一次世界大戦の勃発によって、日本は不況と財政難を解決しました。しかし、大戦が終結してヨーロッパ諸国が復興すると一転、輸出は減退して、大正9年には株式市況が暴落し、多くの銀行が閉鎖する恐慌になりました。 綿糸や生糸の相場が半値になった深刻な不況に、大正12年の関東大震災が追い討ちをかけました。 日本経済は十分な立ち直りをみせないままに、昭和の時代を迎えたのでした。 昭和2年には、金融恐慌に再び見舞われました。震災手形をめぐる国会の審議中に、片岡直温(なおはる)蔵相の、「渡辺銀行がとうとう破綻をいたしました」失言をきっかけに、取付け騒ぎが起こったのです。 東京の騒ぎは台湾銀行の経営破綻もあってたちまち全国に波及し、非常貸出しの救済を続ける日本銀行も苦境に立たされました。 金曜、土曜はすべての銀行を自主休業として、日曜を含めた3日間で新札を印刷しなければなりません。 非常事態に際して印刷局では、平版印刷、無記号、そして裏面は印刷を省略した簡略仕様で、はじめての二百円券と五十円券の製造に臨みました。肖像もありません。 日本銀行に刷りたての二百円券が511万枚、五十円券が4万8000枚納められました。 銀行では月曜から預金者の払戻し請求に応じられたので、2日遅れて発行予定の五十円券は発行しなくてすみました。 |