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若宮八幡古墳 わかみやはちまんこふん
(東松山市石橋2240-1・円墳・県指定)
若宮八幡古墳 (東松山市)
(2019.1撮影)
正月だからなのか、正面の参道入口には長い幟が立っていた。ただ、ここからは階段があって車両は入られないので、脇の道からどうぞ。
昭和48年に再建された立派な八幡神社が、若宮八幡古墳の墳頂に構える。古墳の石室は開口していて、鉄柵があるとはいえ内部を確認できるのは幸せな気分だ。「立派な神社+石室の開口」は雷電神社古墳(伊勢崎市)でも見られたが、羨道を確認できただけだった。

若宮八幡古墳の横穴式石室 (東松山市)直径34m、高さ4.5mの円墳は、6世紀後半の築造で横穴式石室は当時の原形を留め、砂質凝灰岩を使った切石切組積で側壁が胴張型だと、案内板に述べられていた。そして、平成22、23年の修復保存整備に伴う調査で新たに、根石の設置、天井石も砂質凝灰岩を使ったカマボコ型と判明した。
江戸中期にはすでに開口していたので、石室からの遺物は無い。
下唐子(しもからこ)3号墳とも呼ばれる若宮八幡古墳を中心に、下唐子古墳群が構成されていたが、ほとんど破壊されてしまった。見学できるのはあと御嶽山古墳冑塚古墳くらいだ。
なお、石室内部にライトがあって、案内板よこのスイッチを押してみても、点かなかった。故障かな。
帰りに初詣客が数人みられただけの、正月でも静かな若宮八幡古墳だった。

さて、唐子で小学生時代を過ごした打木村治(うちき むらじ)の著作に、『天の園』(偕成社文庫)がある。「雲の恩」(第六部)の一節「恐怖の八幡穴」とは、若宮八幡古墳の石室だ。
人が住み、石室(いしむろ)を塞いだら村に病が流行るという迷信を述べ、「…頂上に若宮八幡がまつってある。参道から高い石段がのぼっている。その塚の根もとの、切り石で組みあげた、まっくらな石室がそれである。これが名高い八幡穴である。…」と描写している。
<参考HP>
東松山市>若宮八幡古墳