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39.平均台 161-170 PDF版はこちら |
161 A「色々便利な物がある中で、化学の恩恵で出来た製品ちゅうのも大したもんじゃな」 B「確かに! プラスティック、ナイロン…。そん中で一番細やかに造られたのがビニールだな」 A「なんで?」 B「微に入る」 162 兄「久し振りにキャッチボールやらないか」 弟「いいね。それで、ボールやグラブ、あったっけ?」 兄「どうかな。-(暫く物置の中をガサゴソ)-こりゃ駄目だ」 弟「何も無いって?」 兄「ったくもう、こりゃミットもねえ話だな」 163 教師「就活、あれこれ大変だろう。見通しはどうだ?」 学生「はい有難うございます。お蔭様で楽勝ムードです」 教師「そりゃ素晴らしい。今どき珍しいと言えるな」 学生「内定が全然取れなくて、泣いていました。こうなったら自分で会社を立ち上げて其処へ入ることにしました。ですから就勝つ」 164 夫「今年は、伊勢神宮も出雲大社も大きな行事が行なわれたんだな」 妻「そうね。あれこれ話題があったわ。お詣り出来ないけど、心の中でお祈り、応援しましょう」 夫「応援、いいねえ。じゃ飲み物とグラスを出してと」 妻「何がいいかしら?」 夫「神社エール」 165 娘「新聞広告、見てるとカタカナの言葉が増えてるね」 母「そうね。日本語の便利なとこでもあるし、やり過ぎると美しさが無くなるわ」 娘「漢字より読み違いが多い。例えば、トレイをトイレ、ウコンをウンコ」 母「ああ、やっぱ美しくないか」 166 X「寒くなったのお。気温が氷点下ちゅう情報が沢山出てるわ」 Y「氷点下ぐれいで、感心したり、ビクビクするこたあねえさ」 X「おっ! 豪気だな」 Y「そうよ、俺んとこじゃあ、T年中かかあ天下だわい」 167 爺さん「バスは路面から乗れて楽だなあ。ところで、婆さんや、民営のと東京都のとどっちのバスが、スピード出したがってるか分るかい?」 婆さん「それくらい直ぐ分るよ。正解は都バス、ふっ飛ばすって言いたいんだろ」 168 マンション業者「こちらは、日当たりも眺めも非常に良い南向きばかりです」 客「それじゃダーティで、困るよな」 業者「と仰いますのは?」 客「ははは、北無いって事よ」 169 新作派「三遊亭円丈師が面白い本を書いたね」 古典派「『落語家の通信簿』だな。色々ざっくばらんだから毀誉褒貶あるだろうよ」 新「面白いと言う人、口惜しがってる者、様々の中で、著者ご本人が一番楽しんでるよ」 古「そうかい。なんでだ?」 新「だって、円状イ だもん」 170 居酒屋の客「おーい、これとこれとこれ、頼む」 女将「はーい。これとこれとこれ、ですね」 客「俺は、酔っ払ってて面倒なもんで、ただ指さして言ったが、女将、大丈夫かい」 女将「ええ、里芋の煮転がしに、蒟蒻に… あとは…」 客「それ見ろ。言わんこっちゃねえな。ちゃんと確認しろや」 女将「思い出した! 豚の角煮」 出典:『いしい平均』増刊第10号(かぶや亭坊楽、2013年12月5日) (2013年12月 石井) |