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27.原三角測点を訪ねて
  白髪岩…2009年3月 米山…4月 雲取山…5月

映画『劔岳・点の記』(新田次郎原作)が公開される。点の記とは三角点設置の記録で、陸軍参謀本部陸地測量部の、柴崎測量手が苦難の末に劔岳に登頂したのは明治40年だ。
でも、明治10年代にはすでに内務省地理局によって50カ所ほど測量されている。陸地測量部は新たに一等三角点を設置するときには原三角測点を撤去したらしく、現存が確認されているのは白髪岩、米山、雲取山だけで三者三様だった。


▲白髪岩
(1512m)

白髪岩の原三角測点西上州の白髪岩へは御荷鉾林道と鳥居峠からルートがあり、いずれも道不詳で一般の登山道ではない。前者は踏み跡はあるようだが、2007年の台風で御荷鉾林道が通行止めになったので、アプローチがより困難な鳥居峠から訪れた。
鳥居峠には広い駐車場がある。林道をすこし下り、一の鳥居から標識に案内のある大ケヤキを目指す。そして、稲含山の斜面をトラバースしながら進むと、稲含山からの不詳の道と合流する鞍部だ。
鞍部から南に向かい尾根道を進むが、次第に西側を巻くように踏み跡やテープがある。笹が生えていれば踏み跡はわかるけれど、落ち葉の広い斜面に出たらテープも踏み跡もない。なので、とにかく南を目指した。
何度かルートを見失ったが、白髪岩が近づいたらテープがウルサイくらい出てくる。急坂を登れば白髪岩の頂上で、苔むした台座の上にどっしりとした原三角測点が置かれていた。現在の三角点よりも大きく、上部の面の+印が×印(対角線)になっている。

(注)赤鳥居から稲含山に登り、鞍部に下るコースもある。いずれにしろ道迷いしやすいので単独行ではなく、できれば複数で。地図、磁石はもちろんGPSがあればベター。そして、熊の生息地なので鈴などを用意。

(注)2001年に発見されるまで、一般には忘れられた存在。設置当時と同じ位置で同じ状態なのは、白髪岩だけのようだ。一等三角点は直線距離で2q離れた赤久縄山に設置され、1.5q離れて白髪山(白髪岩ではない)がある。

原三角測点の状況

上面…×印あり 南東面…明治十五年十月 北東面…原三角測點(点は旧字) 北西面…内務省地理局 台座…あり  補助点…見当たらない。離れてあるのは図根点

▲米 山(992.6m)
米山の原三角測点米山は三百名山で登山道はいくつもあり、ガイドブックを参照して下さい。(三百名山は日本山岳会の選定による。)
ただ、原三角測点の場所がわかりづらいので、山頂の配置図を載せておきます。
登山者の多くは、登頂記念にか、目立つ一等三角点にタッチしているけど、原三角測点に注意を向けるものはまずいない。
原三角測点は米山薬師に向かって階段を上がった、左隅にある。


原三角測点の状況

上面…×印なし 南東面…原三角測點(点は旧字) 北東面…明治十五年八月 南西面…内務省地理局 台座…なし 補助点…あり(上部が欠けている)

▲雲取山
(2017.1m)
雲取山の原三角測点百名山へは鴨沢をはじめ、登山道はお好きなところから。今回は原三角測点の撮影が目的なので、大ダワ林道、富田新道と日帰りで周回してきた。ただ、富田新道は大ダワ林道のように整備されていない。
雲取山では原三角測点、補助点、一等三角点の3点セットがまとめてあって、建設省国土地理院(当時)の案内板まで設置してある。


原三角測点の状況

上面…×印あり 南面…原三角測點(点は旧字) 東面…明治十五年十二月 内務省地理局 (刻字は2行で。案内板では埋設年は明治16年)  台座…あり(自然石を切断して台座にしたらしい) 補助点…あり(米山より大きく、原三角測点と離れていない)

(2009年5月 中山)

<追記>御荷鉾林道や雲取山の大ダワ林道、富田新道は通行止めの場合があるので、事前に確認を。
<追記>13年5月、御荷鉾林道から白髪岩を再訪。鳥居峠からよりも道が明瞭で、もはや普通の登山道と変わらない。1時間10分と短時間で往復できた。