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乙十円券

乙十円券

●肖像をはじめて左側に。改造十円券、甲十円券に続いて和気清麻呂像。

大正4年発行 
寸法:79ミリ×139ミリ

複写による偽造防止に努めた、乙五円券が明治43年に発行され、この乙十円券は大正になってからの登場です。
改造十円券(明治23年発行)、甲十円券(明治32年発行)と同じように、肖像は和気清麻呂でした。
いままで肖像は、券面の(向かって)右側にありましたが、乙十円券ははじめて左側です。右側には清麻呂を祀った護王神社を配しました。

ここで、明治20年の閣議で承認された古代の人物と関係のある、ペアになる神社仏閣をまとめてみます。
日本武尊…建部神社(大津市) 
武内宿禰…宇倍神社(鳥取市) 
藤原鎌足…談山神社(桜井市)
聖徳太子…法隆寺(奈良県生駒郡斑鳩町)
和気清麻呂…護王神社(京都市)
菅原道真…北野神社(京都市)
なお、坂上田村麻呂は検討はされましたが、肖像に採用されていません。

さて、お札を数えるとき、左指に挟んで右指で数えますが、すると肖像は左指に隠れてしまいます。金融機関からは、真偽の監査ができないと苦情が寄せられたので以降、肖像は従来どおり券面の右側、あるいは中央に戻しています。

1914(大正3)年、第一次世界大戦が勃発しました。不況に陥っていた日本経済は、この大戦で救われました。ヨーロッパからの特需が相次ぎ、未曽有の好景気となったのです。
大正6年には、取引に便利なように二十円券がはじめて発行され、また補助貨の不足で五十銭、二十銭、十銭の小額政府紙幣もつくられました。