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33.平均台 141-151
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夫「あーあ、よく寝たなあ。途中で夢を見たんだが、なんか広い場所だったよ」
妻「そりゃ学校の大教室でしょ、きっと」
夫「何やってたのかいな」
妻「眠り方…眠法の講義よ」

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娘「行って来まあーす」
母「はいよ、カの字点検、出来てるネ」
娘「からだ、かね、カード、かぎ、かさ、かえる時刻…」
母「あとは…かれし ナーンテ」

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甲「馬は、大穴狙いが面白いんだが、これからあ別の楽しみ方にしようかな」
乙「ほーお、どんな具合に?」
甲「変ったホース・ネームを見付けて、そいつを頭に買うんだ」
乙「損するばかりだろうよ。どうせ儲からねえんだったら自分で幻の馬名を考えるほうが楽しいぜ…スッテンコロリン、トンダクワセモノ、カッテホシイナー…」

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教師「しゅに交われば赤くなる。この『しゅ』を漢字で書きなさい」
生徒「はい、これです」
教師「どーれ、酒?」
生徒 「お父さん何時も日本酒飲んで真っ赤になってるもん」

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A「野球賭博だ、八百長だ、相撲界も色々騒々しいな。ところで昔は、四股名に『川』を付けた力士が大勢居たなあ」
B「男女の川、清美川、相模川…」
A「俺は子供相撲やってた時、親父から四股名を貰ったぜ」
B「すげえな。教えろよ」
A「痩せてて肉が無いから『骨に皮』」

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甲?「おー、喰い歩きも此処まで来たか。あと何があるかなあ」
乙「そりゃ五日目だから残る品は限られるさ。此れにするか」
甲「飛び切り上等の弁当、ベントー? いいねえ」
乙「あったりめえさ。ジャジャジャジャーン、ああウンメエー(運命)」

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A「こないだ其処の通りを歩いてたら、何とも奇妙奇天烈な看板に出くわしちゃったよ」 
B「変な絵でも描いてあったのか」 
A「この品物、雄・雌です。どうぞ!だって」
B「ペット・ショップ? 違うか。漢字じゃ無くて平仮名か。分った、お前の読み損ないよ」
A「うーん成る程。この品物、おすすめ です、か」

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 来年の歌舞伎界、勘太郎から勘九郎へ、亀治郎から猿之助へと襲名披露が相次ぐ。お目出度い話の中で驚いたのは、香川照之の市川中車襲名。市川猿之助と浜木綿子の息子で、今や有名俳優だが、これから梨園に入って何をやるのか?興味津々。名乗るからには、精々芝居という巨体に強烈なチュウシャ(注射)を打ち込んで、一暴れも二暴れも試みて貰いたい。

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ご隠居「最近、四字熟語てのが話題になるが、日本人は『三字』も好きだな」
熊さん「確かに。七五三、雪月花…」
ご隠居「いいのを挙げたね。それから天地人、人・物・金、運鈍根…」 
八つあん「三題噺、千秋楽と来りゃ、おー、熊公と寄席行ってみよう」
ご隠居「ああ、じゃ又お出で。『顔見世』にな」
  
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甲「旅行会社がツアー人数に使う『催行人員』て、面白い用語だな」
乙「何でだ?」
甲「みんなで『さあ行こう』とも聞こえるし、ぱっとしないプランだから『再考』ともね」
            
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 今年のプロ野球「日本シリーズ」は「鷹」が「竜」を破って終了した。テレビ観戦中にボール・ゲームの外来語から日本語への翻訳に思いを巡らせた。「○球」に入れる一字は、よく工夫されていて、先人の知恵には「たまげる」ばかり。野・庭・卓・水・篭・排・送・蹴・撞。

出典:『いしい平均』増刊号(かぶや亭坊楽、2011年11月25日)
(2011年11月 石井)