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28.平均台 117-128
     117
A「旅行大好きなんだが俺にピッタンコの宿が中々取れねえなあ」
B「それじゃあ毎度『宿泊』に『四苦八苦』って訳だな」

     118
甲「暫く前まではお札に使われるのは髭を生やした人物が多かったね」
乙「うん、聖徳太子・伊藤博文・板垣退助なんてとこだな。偽造がし難いからとかでね」
甲「今じゃ印刷技術がアップしたんで、福沢諭吉・樋口一葉なぞ髭無しが増えてるな」
乙「確かに。だが見落せない人1名あり。その名『野口髭よ』」

     119
女子社員(A)「ここの扉、しょっちゅう開けっ放しだわねえ。ちゃんと閉めなきゃ駄目よ」
男子社員(B)「さよか、俺も気い付けるが、度々通る連中によく言っとくべし」
数日後、A「全然効き目が無いじゃん、ほら又開いてる」 
B「今、閉めたぞ」
A「えっ、みんなに話してくれたんでしょ」 
B「だから、いましめた(戒めた)ぞ」

     120
夫「75才以上が後期高齢者とされてから矢鱈この呼び方が話の種になるなあ」
妻「評判の悪い用語の代表になっちゃって、何とかならないかしら」
夫「俄かに長寿高齢者なんて別の言い方を持出してみたが、後の祭だな。いっそ甲、乙、 丙でも使ったほうが良いかもね」
妻「甲期・乙期・丙期ってやるの? 体調別のランキングみたいで、いやあねえ」
夫「いや何、物は考えようさ。年の功で好機到来、乙でやんす、平気・平気てな具合にな」

     121
店長「『エコカー』でじゃんじゃん儲けるんだ。皆の者しっかり売ってくれや」
店員「でも、うちの営業はどう見ても『火の車』だから。ゆるくないすよ」
店長「そこんとこを我武者羅に強引な手段で頑張るのが、この店の方針さあ」
店員「そんな『横車』を押したら、お客様に言われちゃいますよ…この『エゴカー』め…」

     122
お母さん「ヘイユウ、ビークワイエット!」
坊や「へっ、指くわえてろって?」
母「あんまりうるさいから、静かにしてと英語で言ったのよ」
坊「なあーんだ英語かあ。おやつがお預けになったのかとドキッとしたよ」
         
     123
上司「A君、このパケージを××商事へ配送しておくように」
部下「はい、そうします」
上司「うまく受けたな。じゃ、もう一ちょ、明日の業務予定表にある△△運送の所在地、北区と記入しなさい。済んだら今日はもう退勤していいよ」
部下「分りました。終了してから帰宅します」

     124
ハチ公「おお、あの看板の店で一杯やろうや。蒲焼き屋だ。何か字が書いてあるぞ」
クマ公「兎って読めたわ」
ハチ公「兎の蒲焼きだと、バーカ。カタカナで『ウナギ』よ」 

     125
甲「被写体から、アングルからバッチリだと自信満々だったんだが、こりゃ冴えないわ」
乙「しゃーねえや。上手に撮ろうっちゅう意識が強すぎるんで、徒労に終っちゃうのさ」

     126
奥さんが洋裁を始めると言ったので替え歌をうたっている旦那……「ミシン来たかとかかあに問えばあ、私や裁つ人エー型紙(かみ)にー聞けチョイ、ヤサエンエンヤーサーノドッコイショ、ハードッコイショ、ドッコイショ」

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商人@「此の商品えらい苦労して仕入れたんやけど、世間で中々評価してくれへんわ」
商人A「そりゃ気の毒や。もちいとPRせなあかんわ。ニュースで放送して貰たらどや?」
商人@「そやな。ほんなら『入手解説』がええなあ」

     128
警官「只今あ、草臥れたな。こうやって官服を脱いで私服に着替えると実に寛ぐわい」
その妻「お疲れ様、そりゃその通りだわ。ほんとに今まさに至福の時よ」


出典:『いしい平均』増刊号(かぶや亭坊楽、2009年11月23日)
(2009年12月 石井)