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26.平均台 104-116
     104
甲「さあ北京オリンピックが始まるぞ。マラソン、楽しみだなあ」
乙「そ言やあ、もう随分前だが、谷口選手が途中で転倒したレースのインタビューで『こけちゃいました』って答えて、とても受けたねえ」
甲「そうそう、あれ位のユーモアや余裕があるほうがいいよな」
乙「もし超高齢のアスリートが走って、こけちゃったら何て言えばいいのかなあ」
甲「『ぼけちゃいました』」

     105 
A「キャンペーンか知らねえけど、やたら『俺の店、使ってくれないか』ちゅう奴がいるんだわ」
B「さよか、事と次第によっちゃ付合ってもいいが、商売は何だ」
A「『利用してよ』が、口癖の訳だな。理容師なのさ」

     106
なぞなぞ
「いつも閉まっているもの、なあーに?」「けちんぼの財布」
じゃあ
「いつも開かれているもの、なあーに?」「ぼけ爺さんの社会の窓」

     107
妻「今日お母さんたら浮き浮きしてて、鼻唄なんか歌ってたわ」
夫「ふーん、よっぽど好い事があったな」
妻「なんでも、こないだから探してた老人ホーム、お父さんが入る分ね。決まったそうよ」
夫「ロージン・ホームがかい? そりゃ朗報だわい」

     108
兄「そこの土地、この前から売りに出てるが、中々売れねえなあ」
弟「うん、何でもえらく厳しいちゅうか、どんと乗っかってる建物が難物らしいよ」
兄「ふーん、そんなになってんのかい。よく分らねえけど、『買いたい、買いたい』って日参してる手合いがいるとか聞いたがね」
弟「そりゃ違うよ。難物を『解体、解体』と煽ってんだよう」

     109
親分「どうしたい。ハラ具合が悪いってか?」
子分「いや、大丈夫でやんす。胃痛無いす」
親分「ほう、そりゃ It’s nice!」
        
     110
先輩A「あいつは、純情一途で全くスレテないなあ」
先輩B「そうよ、そのとおり。だが、しょっちゅうドジ踏んでる奴でもあるさ」
先輩A「うーん、となると全くズレテるってわけだな」

     111
甲「偽装、産地詐称、異物混入…、食べ物のトラブルが次々に出るなあ」
乙「豆でも、エンドウとかインゲンとかに問題発生だってさ」
丙「毎日、口にする身近な物だからなあ、縁遠いってほっとく訳にゃいかねえや」
甲「厚労省なんかが調べてるが、分らねえらしいな」
乙「早期解明をと思うが、インゲンも原因不明だとよ」

     112
スーパーの台所用品売り場で、思案した。
「こちとら土瓶ぼうだから早く寝床に入って、薬缶は成るべく灯を消そう。だがまあ急須れば通ずってえ話だ、精々その日グラスを脱出できるように茶碗とした計画でも立てとこうか」

     113
主婦A「ユニクロだ、何だかんだって『カジュアル・ウエア』も色々あるわねえ」
主婦B「ほんと、選り取り見取りで、『数ある』だわ」

     114
お爺さん「おお、顔見世興行が話題になる季節になったんだなあ」
お婆さん「是非、観に行きたいものだわね」
お爺さん「出し物は決まったのかね」
お婆さん「いいえ、これからよ。此処に演目は未定って書いてあるわ」
お爺さん「そうかい、うずうずするわい。早く、観てえ」

     115
妻「なに、この拭き方。汚れが全然取れてないじゃん」
夫「さよか、ちゃんと机に付加価値が発生するようにやったんだがなあ」
妻「小難しい理屈ばっかし言って。付加価値なんか持ち出す前に真面目に、やんなさいよ」
夫「よっしゃ、おお真面目に拭いて俺の存在価値を示してくれん。さあ、これでどうや」
妻「まだまだ。それでいいわなんて言った日にゃあ、ぞんざい勝ちだわ」

     116
カレンダー男「10月22日は、『一応夫婦の日』と読めるな」
暦    女「11月22日は、以前から『いい夫婦の日』ですね」
カレンダー男「んなら、12月22日は、何じゃらほい?」
暦    女「二通りありましてね、『一時夫婦の日』と『if…もしも夫婦の日』なの」
カレンダー男「聊か苦しいな。いっその事『夫婦』に拘らずに、『いっち・にいが3の日』」


出典:『いしい平均』増刊号(かぶや亭坊楽、2008年11月23日)
(2009年1月 石井)