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水子貝塚 みずこかいづか
(富士見市水子・国指定)
水子貝塚、再現した15号住居跡(富士見市)
(いずれも2025.10撮影)
駐車場のスペースは残りわずかだった。水子貝塚公園を見渡せば、いくつかの竪穴式住居のちかくで子どもたちが遊んでいた。芝生広場のところどころに白っぽい地面があって、貝塚の位置と規模を示している。
縄文時代に海水面がいまより数m高くなって、海水が陸地の奥まで流れ込んだ。縄文海進だ。ここは5500年ほどまえ縄文海進のときにできた環状集落跡で、貝塚を伴っていた。(この遺跡には旧石器時代から平安時代までの痕跡がある。)住居跡を利用して生ゴミを捨てたわけで、環状に並んでいた。(環状に並ぶのは貧富の差が無い。)ゴミにはカキ、ハマグリもあるが、シジミがほとんどである。

ムササビ土器ほか(水子貝塚資料館)富士見市見学の目的は、県指定のムササビ土器(獣面装飾付土器)だ。展示館、資料館が併設されて、まず資料館を訪れたら、15・16号住居跡が再現してあり、15号には屈葬の壮年女性と雄犬を埋葬してある(上段下の写真。右上の写真は公園内にある15号住居の、縄文の生活様式を再現した人形)。女性は屈葬で、犬は柱穴に埋葬してあって、周囲には貝層断面もしっかり再現してある。(貝は酸性土壌を中和するので骨は溶けにくい。)

念願のムササビ土器は、展示館のほうにあった。多くの遺物が展示してあるなかで、ムササビ土器だけは単独の容器に収められていた。
富士見市内、羽沢遺跡出土の縄文土器で、口縁部には2つの把手。大きいほうを尻尾、小さいほうを頭とみれば、ムササビに見えなくもないが、最近では向かい合った人とイノシシの顔といわれる。尻尾が人の顔で、大きな穴を目とするようだ。なお、この土器は胎土の特徴から甲府盆地周辺で縄文中期(5千年まえ)につくられ、高さ53センチと大きい。
<参考HP>
富士見市>水子貝塚公園(資料館) 
富士見市>羽沢遺跡出土縄文土器(埼玉県指定有形文化財)